
夏真っ盛りの鎌倉。一昨日まで、鶴岡八幡宮(鎌倉やしろは三の鳥居前です)は、夏の風物詩「ぼんぼり祭」で賑わっていました。
ぼんぼり祭は、毎年8月6日から9日まで鶴岡八幡宮で開催される、幻想的な夏のお祭りです。
鎌倉といえば、歴史的な由来のあるお祭りを思い浮かべがちですが、このお祭りは1938(昭和13)年に始まった比較的新しいもの。
元は「鎌倉ペンクラブ」のメンバー、つまり鎌倉文士たち(代表的な人物として、川端康成、久米正雄、里見弴ら)が、海水浴客に鎌倉文化に親しんでもらうため、ぼんぼりを並べたことから始まったそうです。
1942(昭和17)年に、実朝祭が8月9日と決定したことから、神事と融合する形となり、立秋の前日、立秋の日、そして8月9日をつなぐ一連の祭儀となりました。




鎌倉ペンクラブを結成して親交を深めた文化人たちは、さまざまな地域に根ざした文化活動を展開しましたが、このぼんぼり祭もその一つ。
鎌倉は、近現代の文芸や絵画ファンにとっても、好きな作家の足跡を辿ることができる場所ですが、このお祭りを始めたきっかけとなった鎌倉文士たちは、スタート時から、自ら書や絵を描いたぼんぼりを掲揚しています。
これって、本当にすごい試みですよね。
このお祭りの間、鶴岡八幡宮は、ものすごい数の著名作家の新作の展示会場になるということですから!
なお、今までの2万点を超える作品は、きちんと同宮に保存されているとのことです。





鎌倉ゆかりの文化人や著名人が描いた書画は、一つ一つぼんぼりに仕立てられ、祭り当日には、蝋燭の明かりが灯されます。
その数、およそ400基。毎年新しい作品に出会えます。
全てが一点もの!
そう考えると、なんだかとっても贅沢なお祭りですね。
ぼんぼりへの点灯は日没から。境内全体が、温かい光に包まれます。
期間中は「夏越祭」「立秋祭」「実朝祭」の神事も行われますので、来年、来てみようと思われる方は、ぜひゆっくり時間に余裕を持って、お越しになることをおすすめします。
ここで一枚。
この古い写真は、私(店主)の幼い頃のぼんぼり祭での写真です。まだ8ヶ月頃の写真だそうで、父に抱っこされています。
横にあるぼんぼりの絵は、私の祖父の絵です。
祖父は、版画家の平嘉門(へい かもん)。鎌倉の風景の木版画を数多く手がけました。

昭和13年に「鎌倉ペンクラブ」のメンバーが始めたお祭りの思いは、今も受け継がれています。
現在も、鎌倉にゆかりのある画家、漫画家、文学者、アスリートらが、ぼんぼりのための作品を描いています。
そしてこのお祭りは、世代が変わっても、地元住民にとってはもちろん、鎌倉を訪れる方々にも愛される夏の風景となっています。
昔の鎌倉文士たちが、鎌倉への思いを一枚の作品に込めたように、今もまた、さまざまな作り手が作品を通して鎌倉の魅力を伝えています。
そんな「作り手の想い」に出会えるのも、鎌倉を歩く楽しみの一つかもしれません。
鎌倉へ足を運ばれる際には、季節ごとに出会える鎌倉の美しさを、心ゆくまで味わっていただけたら嬉しいです。
今年のぼんぼり祭は終了しましたが、鎌倉やしろでは、年間を通じて、作り手たちの想いが詰まった一点ものの作品と、出会うことができます。
季節に合わせたアクセサリーや、日々を彩る器など、あなたのお気に入りの一点を見つけに、ぜひお立ち寄りくださいね。
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